幾何公差の測定方法(幾何公差の種類、測定機器)
幾何公差の種類と測定機器の対応表
幾何公差 | ノギス・マイクロメータ | ハイトゲージ | ダイヤルゲージ | 真円度測定機 | 画像測定機 | 輪郭形状測定機 | 三次元測定機 |
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真直度 | ◯ | ◯ | ◯ | ||||
平面度 | ◯ | ◯ | ◯ | ||||
円周振れ | ◯ | ◯ | |||||
全振れ | ◯ | ◯ | |||||
平行度 | ◯ | ◯ | |||||
真円度 | ◯ | ◯ | |||||
円筒度 | ◯ | ||||||
同軸度・同心度 | ◯ | ◯ | |||||
傾斜度 | ◯ | ◯ | |||||
位置度 | ◯ | ◯ | |||||
線の輪郭度 | ◯ | ◯ | |||||
面の輪郭度 | ◯ | ◯ |
幾何公差の測定機器
ノギス・マイクロメータ
ノギスとは2点間の距離、つまり幅や直径(外径)、内寸や内径を測るための測定器具です。被測定物を挟むことで幅や直径を、内側に当てることで内寸や内径を測定できます。また、デプスバーを使用することで穴の深さや段差の測定も可能です。
ノギスは手軽に持ち運べて簡単に測定できるため、現場でも使いやすいメリットがあります。しかし、ノギスをまっすぐ当てないと正確に測定できなかったり、被測定物への押し付け具合によって測定値が変わることもデメリットです。また、測定値を読み取るときは目盛りをまっすぐ見て読み取らなければなりません。
軸の直径など挟んで測定するものにおいて、より正確に測定したい場合にはマイクロメータが有効です。マイクロメーターと同様に被測定物を挟み込んで測定します。
マイクロメーターはノギスより精密に(桁数多く)測れるのが最大のメリットです。特に軸の直径ははめあい交差を指定する場合も多く、正確な寸法が求められます。しかし、ノギスと異なり内径や深さが測定できないのはデメリットです。また、測定値を読み取るときは目盛りをまっすぐ見て読み取らなければなりません。
測定可能な幾何公差
ノギスやマイクロメータは基本的に単純な寸法測定に用いる測定器具で、幾何公差の測定はできません。ただし、ジョウで被測定物と定盤を挟み込むことができれば、簡易的に表面の真直度を測定できます。
ハイトゲージ
ハイトゲージとは被測定物の高さ測定に特化した被測定物です。定盤の上にハイトゲージを置き、スクライバ(測定ポイント)のついたスライダを上下に移動させて、被測定物の上にスクライバを接触させて測定します。
ハイトゲージのメリットは高さを正確に測定できることです。ノギスやマイクロメータを使用して高さを測定する場合、必ず被測定物を挟む形になります。このとき、挟み方や目盛りの見方が悪いと(まっすぐ測れていないと)正確な測定ができません。しかし、ハイトゲージは定盤を使うため、正確に測定できます。また、ノギスで測定できないような大きいもの(高いもの)も測定可能です。
一方、測定には必ず定盤が必要なため、測定環境を整えておく必要があります。また、ハイトゲージの扱い方にも注意が必要です。ハイトゲージを移動させるときは、ベースを上から掴み反対の手をスライダに添えて支えます。片手で目盛りを持つと目盛りが曲がる可能性があり、ベースの下を持つと底面にゴミが付着する可能性もあります。また、目盛りを素手で触ると錆のもとになるため、運搬時・測定時には手袋の着用が必須となるのです。
測定可能な幾何公差
ハイトゲージを使用すると「平行度」と「平面度」、それに「真直度」が測定可能です。
ダイヤルゲージ
一般的な測定器具が長さや幅、高さなど絶対的な値を測定するのに対して、ダイヤルゲージは基準値(基準位置)から振れやバラツキなど相対的な値を測定します。上下に移動するスピンドルと、スピンドルの移動量を示す目盛りというシンプルな構成の測定器具です。
ダイヤルゲージのメリットは1/100mmや1/1000mmといった、精密な単位の測定が可能なことです。また、測定値の読み取りは針が指す目盛りを読むだけで簡単にできます。一方、ダイヤルゲージは単体では使用できません。定盤の使用が前提となるほか、ダイヤルゲージを固定するための治具やスタンドが必要となります。
また、円筒状のものを測定する場合は、被測定物を置くためのVブロックも必要となるのです。このように測定にはダイヤルゲージ以外にも多くのものを必要とするデメリットがあります。
測定可能な幾何公差
ダイヤルゲージを使用すると「円周振れ」や「全振れ」、それに「平面度」が測定可能です。
真円度測定機
真円度測定機とは回転テーブルの上に乗せた被測定物を回転させながら、円周部の微小な凹凸を全周にわたって測定するものです。一定重量までの被測定物なら回転させますが、重量物を測定する場合は装置側(検出器側)が回転するタイプもあります。
真円度測定機のメリットは手軽に全周の形状を測定できるため、はめあい精度や気密性を確保したいときに有効であることです。しかし、測定するために必要な被測定物と回転テーブルのセンター合わせ(芯出し)が必要という点はデメリットです。これをきちんと行わないと正確な測定はできません。ただし、機種によってはサポート機能もあるため、機種選定時に気を付けるようにしてください。
測定可能な幾何公差
真円度測定機を使用すると「真円度」や「円筒度」、それに「同軸度・同心度」が測定可能です。
画像測定機
画像測定機とはレンズに映された、拡大された被測定物の像をカメラで撮影し、画像処理技術を用いて被測定物の形状を検出し測定するものです。基本的に像は平面で捉えますが、オートフォーカス機能により高さ測定も可能です。測定は瞬時に終わりますが、被測定物が画面内に収まらないほど大きい場合は、被測定物のすべての部分が写るまで複数回撮影する必要があります。
画像測定機のメリットは非接触測定のため、被測定物に傷をつけたりする懸念がないことです。しかも、被測定物を装置上の所定の位置に置いて測定プログラムを実行するだけなので、個人間の測定誤差がありません。しかし、導入には相応のコストが必要な点はデメリットとして挙げられます。
測定可能な幾何公差
画像測定機を使用すると「傾斜度」や「位置度」が測定可能です。
輪郭形状測定機
輪郭形状測定機とは触針(スライタス)で被測定物の輪郭をなぞることで断面形状を測定し、そこから演算により寸法や直径、ピッチや角度を取得する装置です。輪郭形状測定機を使うと簡単に寸法測定ができるだけでなく、タップの寸法や小さなRの寸法など、他の測定機では難しい測定も可能です。また、理論的に正しい形状と測定値を比較する機能もあります。
輪郭形状測定機のメリットとして複雑な形状や小さな形状を測定できることはもちろんのこと、複数箇所の自動測定ができるタイプもあることです。しかし、スライタスが被測定物に触れるため精密部品の測定が難しかったり、被測定物を傷つける可能性があったりする点はデメリットです。
測定可能な幾何公差
輪郭測定機を使用すると「線の輪郭度」や「面の輪郭度」が測定可能です。
三次元測定機
三次元測定機とは立体空間における点や線を測定することで形状を把握できる測定機です。多くの幾何公差を測定可能なため、一台あれば多くの測定に対応できる万能型の測定機ともいえます。三次元測定機は、座標測定機の英訳(Coordinate Measuring Machine)よりCMMと呼ばれることもあります。
三次元測定機のメリットはあらゆる測定が可能になるのはもちろん、測定プログラムを切り替えるだけで異なる被測定物の測定ができるため、個人間の測定誤差がないことです。しかし、導入コストが高いうえに保守コストがかかる、また一定程度の設置スペースが必要という点はデメリットです。
また、機種によっては次の幾何公差の測定には向かないため、必要に応じて別途測定機を用意する必要があります。
測定可能な幾何公差
三次元測定機を使用すると次の幾何公差が測定可能です。
- 円心度
- 円筒度
- 円周振れ
- 全振れ
- 真直度
- 平面度
- 線の輪郭度
- 面の輪郭度
- 平行度
- 直角度
- 傾斜度
- 位置度
- 同心度・同軸度
- 対称度
マイクロ・ビュー三次元測定機
Micro・Vu(マイクロビュー)には追加可能な6種類のオプションがあります。
- 画像測定:世界最高輝度の照明を利用した非接触測定が可能
- タッチプローブ測定:平面で見えない側面の形状が把握可能
- レーザー測定:深い穴・溝や複雑な凹凸などが測定可能
- 白色光スキャナー測定:透明な被測定物の形状・輪郭が把握可能
- 回転測定:被測定物を回転させることにより、側面や裏面が測定可能
- プラテン測定:薄い・柔らかい・動きやすい被測定物が測定可能
上記のオプションを利用することにより、最大15種類の幾何公差が測定可能です。
- 両側交差
- 真位置度RFS ※RFS=Regardless of Feature Size:要素サイズの影響を受けない実体公差方式
- 真位置度MMC ※MMC=Maximum Material Condition:最大実体状態
- 真位置度LMC ※MMC=Least Material Condition:最小実体状態
- 真直度
- 真円度
- 平面度
- 直角度
- 平行度
- 傾斜度
- 同心度
- 線の輪郭度
- 面の輪郭度
- 円周振れ
- 全振れ
- 粗さ(Ra,Rz,Rzjis)
- 同軸度、対称度(測定の組み合わせで測定できます)
小型〜大型の豊富な製品ラインナップ
Micro・Vuは小型〜大型までラインナップがあり、次に示す被測定物に対応可能です。(X,Y,Z 単位:mm)
Global500企業への納入実績
精密機器メーカーや自動車メーカー、家電メーカーや商社、それに流通企業など世界の名だたる企業への納入実績があります。詳細はこちら