コラム

画像測定機とは?精度・速度・測定範囲を徹底比較|非接触測定の仕組みと導入メリット

製造業において寸法測定(寸法検査)は、直接的に利益を生む工程ではありません。しかし、寸法測定を疎かにすると不良品の流出につながり、利益以上の損失を生むだけでなく顧客に多大な迷惑をかけることになります。このような観点から寸法測定は非常に重要です。

寸法測定において求められるのは計測精度の高さと計測時間の短さです。そのようなニーズを満たす測定機の一つが画像測定機です。

なぜ「画像測定機」が注目されているのか

製造現場でのニーズ

近年、製造現場では寸法測定に対して「非接触化・自動化・高速化」への関心が高まっています。

製品に接触すると直接的に計測できる反面、損傷や汚染(衛生面)、場合によっては押圧力による変形のリスクが高まります。このような理由から非接触化が求められています。

自動化は寸法測定に限らず求められています。人(作業員)にはより付加価値の高い仕事をしてもらうという目的で作業の自動化が進められており、寸法測定も例外ではありません。

また、測定時間の削減(高速化)も求められています。製品のスループットを上げることで生産効率を向上させ、余った時間で生産量を増やせば売上や利益の拡大が期待できます。

このように製品価値や生産性向上の観点から、測定に対するこれまでとは異なるニーズが高まっています。

画像測定機とは?基本原理と仕組み

測定機の分類

測定機は大きく接触型と非接触型の2種類に分かれます。

接触型とはプローブなどが製品(測定対象)に接触して測定するものです。プローブやスタイラス(接触する測定子)を必要とする三次元測定機や、簡易な測定手段だとノギスやマイクロメータがこれに該当します。

一方、非接触型とは計測対象に触れることなく寸法測定が可能です。レーザー距離計や三次元測定機(レーザースキャン式、CCD式)がこれに該当します。

画像測定機の計測原理

画像測定機は測定対象をCCDカメラなどで撮影し、それを画像解析することで寸法を算出します。一般的にはCCDカメラで撮影した画像を256階調[1.1]で明るさを分類し、計測対象の稜線(縁)を検出します。次に計測したいポイント間の画素数と、撮影時の倍率と1画素の寸法から計測部分の寸法を計算[2.1]します。

非接触測定の特長

非接触型の最大の特長は、測定対象に接触しないため負荷が小さいことです。そのため、損傷や汚染のリスクが基本的になく、自動測定による高速計測が可能です。

他の測定方法との違い:接触式・レーザー・三次元測定との比較

接触式測定(タッチプローブ測定)との違い

タッチプローブ測定と画像測定機の最大の違いは、前者は計測対象に接触しないと測定できないことです。タッチプローブ測定では、三次元計測機などにプローブと呼ばれる測定子をつけて、測定対象の稜線をなぞるように接触させます。あるいは、重要なポイントを数点接触させるタイプもあります。いずれにしても、プローブが計測対象に触れることではじめて計測できます。

タッチプローブ測定では、接触したプローブが計測対象の表面などを損傷させるリスクがあります。また、コンタミを気にするような精密な部品の場合、プローブが汚染源になる可能性もあります。タッチプローブ測定にはこのような課題があります。

レーザー測定との違い

レーザー測定も画像測定機と同様に非接触での計測が可能です。しかし、画像測定機が撮影した画像を用いて寸法を算出するのに対して、レーザー測定では計測対象に直接レーザー光を当てて計測します。

レーザー測定はレーザー光の反射を利用して測定します。そのため、一般的には透明なガラスやアクリル板などレーザー光を透過する材質を、正確に計測できない可能性があります。また、画像測定機に比べてイニシャルコストやランニングコストが高くなる傾向にあることもレーザー測定の課題です。

画像測定機の主な特長(精度・速度・測定範囲を中心に)

μm単位の高精度な測定を実現

部品に要求される寸法公差や幾何公差によってはμm(ミクロン)単位の測定が求められる場合もあります。画像測定機ならミクロン単位の測定にも対応しているため、公差の厳しいはめあい部品の測定や、穴位置・直径の測定なども可能です。

また、画像解析により測定するため再現性があり、ノギスやマイクロメーターのように計測者や計測タイミングによって寸法が変わることもありません。

ワンクリック測定・プログラム測定による大幅な時間短縮

画像測定機に測定対象をセットしてワンクリックすると簡単に測定できるタイプがあります。また、検査プログラムを予め組んでおくことで効率的な測定も可能です。これらの機能を活用することで、計測対象にもよりますが、わずか数分[3.1]で測定することも可能です。

製造現場への貢献

検査工程では製品の異常を見つけることより、結果的には製品が正常であることを確認する回数の方が多いです。高精度かつ短時間で検査を行うことにより、製造現場の効率化・安定化に貢献します。ただし、万が一にも異常があった場合には即座に不良品を検出します。

導入メリットと活用シーン

測定時間の短縮

例えば投影測定機と呼ばれる光学顕微鏡のような装置を使って測定すると、一般的には1個の部品を測定するのに10分程度[4.1]かかると言われています。しかし、画像測定機なら数分程度なので、仮に5分だとしても計測時間が約半分に短縮されます。

属人性の排除

熟練者の方が精度良く短い時間で測定できますが、やがて退職し、後継者育成には時間がかかります。しかし、画像測定機なら属人性を排除して再現性のある計測結果が得られるため、コストと時間を大幅に節約できます。

活用事例

画像測定機の活用は、さまざまな業界で進んでいます。

金属加工や樹脂加工など基本的な加工部品はもちろんのこと、電子部品など特定の機能をもつ部品でも画像測定機が活用されています。また、精密さや清潔さが求められる医療機器や、場合によっては人命に関わる自動車部品においても、画像測定機は重要な役割を果たしています。

導入時の注意点と選び方のポイント

測定対象サイズ

はじめに検討しなければならないのは測定対象のサイズです。画像測定機にはさまざまなタイプがあり、測定可能なサイズに対して一定の範囲を持っています。測定対象のサイズを踏まえて、それに対応できる画像測定機を選定しましょう。

レンズ倍率・視野・解像度

必要な測定精度やサイズによって、レンズの倍率や視野、解像度が異なります。そのため、レンズに関する検討も行う必要があります。

ソフトウェアの操作性とデータ形式

どれほど高精度で測定時間の短い画像測定機でも、ソフトウェアの使い勝手やUIのデザインは重要です。誰でも操作しやすく、取扱説明書やチュートリアルを読まなくても、一定程度直感的に操作できると使いやすいでしょう。

また、データ形式にも気をつける必要があります。測定したデータをPCや他のソフトウェアに取り込むこともあるでしょう。その際、データ形式の互換性がないと取り込んだ先で測定データを使用できません。

校正・メンテナンスサポート

画像測定機に限らず、測定機の精度劣化を検査し、場合によっては精度修正することは必要です。また、それ以外にも定期的なメンテナンスが必要です。場合によっては突発故障が発生することもあるでしょう。そのような時に困らなくていいように、画像測定機を選定する際には校正も含めたメンテナンスサポート体制を確認する必要があります。

イニシャルコストとランニングコスト

設備導入においてはイニシャルコストばかりが気になりますが、実際に使用をはじめるとランニングコストも気になります。イニシャルコストは購入時だけですが、ランニングコストは設備を使用し続ける限りずっと負担することになります。自社の利益のうち、画像測定機のランニングコストにかけられる金額を算出し、その金額以下になるような設備を選定しましょう。

自社に合った画像測定機を選ぶために

最適な測定機の選択

どれほど性能の高い画像測定機でも、計測対象に合ったものでないと十分な活用はできません。導入時の注意点を参考に、自社に合った画像測定機を選びましょう。

導入後を見据えて

測定対象の製品の仕様変更やモデルチェンジにより、形状や求められる測定精度が変わる可能性があります。将来的に多様な計測に耐え得る十分なオプションが用意されているのか、オプションのラインナップを確認しておく必要があります。

対応するOSや測定ソフトウェアのアップデート費用も確認しておきましょう。メンテナンス費用もそうですが、導入前にランニングコストを把握しておくことで導入後の収支計画を立てやすくなります。また、メンテナンスサービスの品質や対応スピードなど、画像測定機の正常な運用に関わる情報も事前に確認しておく必要があります。

画像測定機の導入相談・デモ体験はこちらで受け付けています。

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