コラム

大型三次元測定機の種類と導入検討に必要なこと

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はじめに

大きなワークによく使用される測定器具としてコンベックスや長尺があります。しかし、サイズの大きなワーク(部品)や複雑な形状のワークをこれらで測定するのは簡単ではありません。

一方、自動車をはじめとする製造業では、生産工程削減や組立工数削減を目的として複数部品を1つに集約するという動きがあります。しかし、そうすることでサイズが大きくなり、形状が複雑になってしまいました。

そこで有効なのが三次元測定機(CMM = Coordinate Measuring Machine)です。本記事では三次元測定機の種類やそれぞれのメリット・デメリット、また、導入時の注意点を解説します。

課題提起:大型ワークの測定における課題とは?

大型ワークの寸法測定においてはさまざまな課題があります。例えば大型ワークをコンベックスや長尺ノギスで計測する場合、辺が長くなるほど測定誤差が大きくなります。また、正確に測定できるのは一部の熟練者のみといった属人化の原因にもなります。

また、コンベックスや長尺ノギスでは複雑な三次元形状を正確に測定するのが難しいという問題もあります。通し穴やタップのピッチを正確に測定することも難しいでしょう。完成後の寸法検査なら重要なポイントだけ測定すればよいかもしれませんが、リバースエンジニアリングなど正確な寸法を必要とする場合にはピッチや三次元形状の正確な寸法が必要になります。

大型三次元測定機とは?その特徴と測定原理

三次元測定機は表面形状をなぞるように測定します。一般的には接触プローブをワークに接触させて測定するタイプと、カメラやレーザープローブをワークにあてて非接触で測定するタイプがあります。これらを用いて表面形状を測定することで、計測器具では手間がかかる測定や難しい測定を行いXYZの座標(寸法)を取得します。

三次元測定機のなかでも特に大型のワークに対応できるタイプを「大型三次元測定機」といいます。詳細な寸法は後述しますが、大型三次元測定機のほうが一般的な三次元測定機より測定可能範囲が大きく、幅広いワークのサイズに対応できます。また、フレーム強度が上がるため、ワークの大きさに比例して相応の重量にも対応できるように設計されています。

大型三次元測定機の活用方法とメリット

大型三次元測定機は、一般的な三次元測定機では測定できない大型のワークに適しているだけではありません。例えば、スマートフォンに使われるフェイスプレート(外装パネル)を大量に測定用治具にセットし、治具ごと大型三次元測定機のテーブルに載せることができます。これにより多数個一括連続測定が可能となり、測定工数の削減に役立ちます。

また、液晶モニターやキーボードに使用されるフレキシブル基板(フィルム状の曲げられる基板)の測定においても、同様に活用できます。

大型三次元測定機を選ぶ際のポイントとチェックリスト

大型三次元測定機は高い効果が期待できる一方、非常に高いコストを負担することになります。機種選定に失敗しないために、次のポイントをおさえておきましょう。

測定範囲とワークサイズの適合

はじめに確認しなければならないのが、業務で測定しているワークサイズと、大型三次元測定機の測定可能サイズです。ワークサイズのほうが大きいと当然ですが測定できません。また、大型三次元測定機の導入は比較的大きな投資となるため、現時点でのワークサイズだけでなく、中長期的な視点で事業を捉えて必要な範囲内で測定可能サイズに余裕を持たせておくとよいでしょう。

測定精度と繰り返し精度

測定可能サイズと同じくらい大切なのが精度の確認です。一口に精度と言っても測定精度と繰り返し精度があります。

まず、測定精度は測定長によって異なります。現在のワークサイズと中長期的な視点で考えたときのワークサイズを考慮し、必要な精度で測定できる機種を選択しましょう。また、一度の測定における測定精度も大切ですが、複数回測定を行っても測定値が一定以内に収まるための繰り返し精度を考慮する必要もあります。

センサー方式(接触式 vs 非接触式)

大型三次元測定機でワークを測定するにはプローブが必要です。プローブは前述の通り2種類ありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

まず、接触式のメリットは比較的精度良く測定できることです。しかし、プローブが入らないほど細かい形状の場合は計測ができません。また、比較的柔らかい材質の場合は、表面に傷をつけたり凹ませたりしてしまうリスクがあります。

一方、非接触式は接触式が抱えるデメリットを解消できます。また、カメラによる画像測定方式の方が非接触式より精度が高いといわれています。

測定速度・生産性

寸法測定は大切な作業なので正確に行う必要がありますが、生産性に影響するため、測定速度とのバランスも大切です。使い勝手や精度とともに、測定速度も考慮するようにしましょう。

設置環境・メンテナンス

機種によっては精度保証温度が決められています。その範囲から外れてしまうと、カタログで謳われている精度を達成できなくなる可能性があります。また、取扱説明書やマニュアルにはメンテナンスの頻度(条件)と内容が記載されているはずです。正確な測定を引き続き行うために、メンテナンスをきちんと実施するようにしましょう。

操作性・ソフトウェア連携

精度高く寸法測定ができるとしても、操作性が悪ければ現場で使われづらい設備になってしまいます。導入を検討する際にはデモ機などを借りて、現場の作業者の方に実際に使ってもらうとよいでしょう。また、測定した寸法をCADやCAMと連携させたい場合もあると思います。連携機能があることはもちろん、現在使用しているCADやCAMと互換性があることを確認しておきましょう。

導入コストとランニングコスト

大型三次元測定機は大きな投資であるため、はじめに導入コストを十分検討する必要があります。現状の測定作業から大型三次元測定機による計測に変わったことによる効果を定量的(時間あるいは金額)に捉えるようにして、損益分岐点を検討しましょう。

メンテナンスなどのランニングコストも必要です。ランニングコストを見積もる際には、導入後のサポート体制も確認しておきましょう。ランニングコストは単純に金額だけで比べるのではなく、サポート体制も加味するとより効果的に導入検討ができるでしょう。

まとめ:最適な測定機選びに向けて

三次元測定機マイクロビュー

マイクロ・ビューにはカメラによる画像測定を標準として追加可能な5種類のオプションがあります。

1. タッチプローブ測定:平面で見えない側面の形状が把握可能
2. レーザー測定:深い穴・溝や複雑な凹凸などが測定可能
3. 白色光スキャナー測定:透明な被測定物の形状・輪郭が把握可能
4. 回転測定:被測定物を回転させることにより、側面や裏面が測定可能
5. プラテン測定:薄い・柔らかい・動きやすい被測定物が測定可能

小型〜大型の豊富な製品ラインナップ

マイクロ・ビューは小型〜大型までラインナップがあり、次に示す被測定物に対応可能です。(X,Y,Z  単位:mm)

● 小型(VERTEXシリーズ):250x160x160〜315x315x160/250
● 中型(EXCELシリーズ) :420x520x160/250/400〜660x700x160/250/400
● 大型(   〃    ) :750x900x160/250/400〜1050x1300x160/250/400
● 超大型(   〃   ) :1250x1700x160/250/400〜1600x2560x160

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