コラム

タッチプローブの特徴とは何か?他の測定方式と比較してご紹介

はじめに

概要

金属加工や機械加工において、寸法測定は非常に重要な作業です。ノギスやマイクロメーターでも一定の精度で測定できますが、より高い精度を求められることも多々あります。そこで必要なのが三次元測定機ですが、その測定方法は画像測定やレーザー測定、それにタッチプローブ測定とさまざまです。

本記事ではタッチプローブ測定のメリット・デメリット、選定方法や活用事例について述べます。

タッチプローブ測定とは

タッチプローブの基本的な仕組み

タッチプローブはプローブとスタイラスの2つの部分に分かれます。スタイラスとは棒状の部品で、先端の球状の接触子を測定対象物に接触させることで寸法を測定できます。そして、プローブはスタイラスから受け取った寸法情報を測定ソフトウェアに送信するのが役割です。

タッチプローブは情報伝達方法により、大きく3つに分類されます。

1つ目はインタラクティブ方式です。これは電磁コイルによって情報を伝達するもので、プローブと測定機を繋ぐモジュールを介して電源を供給するため、プローブ側に電源は不要です。ただし、プローブからの情報を受け取る受信機とプローブを接近させて取り付ける必要があり、レイアウトの柔軟性に欠けます。

2つ目は赤外線方式です。赤外線によって情報を伝達する方法でインタラクティブ方式と比べると伝達可能範囲が広いため、現在でもよく用いられる方式です。

3つ目は無線方式です。無線を利用することで伝達可能範囲は赤外線方式より広くなり、三次元測定機以外の用途でも用いられています。

測定プロセスの概要

タッチプローブはそれ単体で測定できるものではなく、基本的に三次元測定機や工作機械に取り付けて使用する必要があります。測定対象物を三次元測定機にセットすると、あとは所定の測定プログラムに沿って三次元測定機が自動で測定してくれるのが特徴です。なお、測定プログラムは測定対象物の3Dデータを元に作成します。

タッチプローブ測定の用途と主な対象物

タッチプローブはもともと寸法測定のために開発されたもので、主に三次元測定機に取り付けて使用します。しかし、他の用途でも使用される事が多く、例えば工作機械におけるワークの原点出しにも使用します。タッチプローブを用いた原点出しは人より正確であるため、作業者の習熟度によらず高精度な測定や切削をサポート可能です。

タッチプローブ測定のメリットとデメリット

メリット

高精度な測定が可能

タッチプローブの最大のメリットは高精度な測定が可能なことです。しかも、作業者(操作者)の習熟度によらず、操作方法さえ覚えれば誰でも精度高く測定できます。

非接触測定との比較での優位性

非接触式(画像測定、レーザー測定など)は光が返ってくる物質しか測定できないなど、測定上の制約がありますが、タッチプローブ測定は幅広く適用できます。

また、非接触式では広い範囲を測定できるタイプは測定精度が低く、測定精度が高いタイプは狭い範囲しか測定できないなど仕様がトレードオフの関係にあります。タッチプローブ式は両者のバランスが良いのが特徴です。

測定時間の短縮

タッチプローブを使用することで、短時間で高精度な測定が可能です。ノギスやマイクロメーターでは測定誤差軽減のため複数回測定することもありますが、タッチプローブなら測定誤差がばらつく心配はなく、一度の測定で済むため測定時間を短縮できます。

デメリット

測定対象物に触れるための制約

タッチプローブの最大のデメリットは、測定対象物に接触することです。接触子は球状のため大きな傷がつく訳ではありませんが、表面粗度の仕様が厳しい場合には使用できません。

また、接触子が入り込めないほど細かい部分の測定や、接触子が触れることで変形してしまう測定対象物の測定もできません。

導入コスト

タッチプローブはそれ単体では使用できず、基本的に三次元測定機に取り付けて使用します。そのため、既存の三次元測定機に新しくタッチプローブを取り付ける場合はそれほどのコストではありませんが、三次元測定機も含めて導入する場合は、一定程度のイニシャルコストが必要となります。

タッチプローブ測定機の選び方

測定精度と対応サイズ

非接触式ほどではないものの、タッチプローブにも測定精度と測定範囲(測定対象物の対応サイズ)に制約があります。導入検討段階で測定精度と測定対象物のサイズのレンジを把握しておき、必ずメーカーの推奨範囲内に収まるようにする必要があります。

設置スペースや導入コスト

タッチプローブを用いた測定機は基本的に三次元測定機です。設置スペースはもちろんのこと、導入後の既存装置のレイアウトも含めて入念な検討が必要です。

導入コストや導入による効果も検証しましょう。導入コストにおいてはイニシャルコストだけでなくランニングコストも検討する必要があります。寸法測定において「効果」を数値化するのは難しいかもしれません。しかし、測定時間を短縮して他の作業を行った場合にどの程度の利益を生み出せるのかなど、投資額の回収期間も含めて計算しておいた方が良いでしょう。

タッチプローブ測定の活用事例

製造業: 自動車部品の精密測定

自動車部品にはシリンダとピストンなど、部品単体の精度だけでなく狙った通りのはめあい精度を求められます。そのため、タッチプローブを用いて精度の高い測定を行います。

医療機器: 複雑形状の部品測定

医療分野においては骨折治療のためのボーンプレートや、股関節置換術のための股関節(人工関節)など、一般的な工業製品と比較して形状が複雑です。そのため、タッチプローブを活用して3次元的に測定します。

航空宇宙: 高精度が求められる分野での利用

航空宇宙分野においては、インコネルやチタンなど難削材の部類に入る金属を切削します。これらは非常に高価であるため、歩留まりが高くなると生産コストも高くなってしまいます。そのため、タッチプローブを用いて高精度な測定を行う必要があるのです。

タッチプローブ測定の導入時に知っておくべきこと

導入時の注意点(設置環境や運用方法)

メンテナンスとサポートの重要性

タッチプローブにコンタミやオイルミスト、粉塵が付着すると、正確な測定ができません。そのためこまめに清掃を行うのはもちろん、タッチプローブによっては温度や湿度が一定範囲に保たれた場所で保存する必要があります。ただし、タッチプローブはあくまでも消耗品です。状態を確認しながら定期的に交換するようにしましょう。

また、校正(キャリブレーション)を定期的に行うことで、測定の精度を担保できます。タイミングやJISの規定を参考にするほか、メーカーの推奨タイミングも確認しておきましょう。

測定作業が滞ると製品の生産に支障をきたします。そのため、メーカーのサポート部隊と連絡を取れるようにしておき、何かあった際には可能な限り短い時間で復旧できる体制を整えておきましょう。

三次元測定機マイクロビュー

6種類のオプションで15種類の幾何公差を測定可能

Micro・Vu(マイクロビュー)には追加可能な6種類のオプションがあります。

  1. 画像測定:世界最高輝度の照明を利用した非接触測定が可能
  2. タッチプローブ測定:平面で見えない側面の形状が把握可能
  3. レーザー測定:深い穴・溝や複雑な凹凸などが測定可能
  4. 白色光スキャナー測定:透明な被測定物の形状・輪郭が把握可能
  5. 回転測定:被測定物を回転させることにより、側面や裏面が測定可能
  6. プラテン測定:薄い・柔らかい・動きやすい被測定物が測定可能

オプションを利用することにより、最大15種類の幾何公差が測定可能です。

  1. 両側交差
  2. 真位置度RFS  ※RFS=Regardless of Feature Size:要素サイズの影響を受けない実体公差方式
  3. 真位置度MMC ※MMC=Maximum Material Condition:最大実体状態
  4. 真位置度LMC  ※LMC=Least Material Condition:最小実体状態
  5. 真直度
  6. 真円度
  7. 平面度
  8. 直角度
  9. 平行度
  10. 傾斜度
  11. 同心度
  12. 線の輪郭度
  13. 面の輪郭度
  14. 円周振れ
  15. 全振れ

小型〜大型の豊富な製品ラインナップ

Micro・Vuは小型〜大型までラインナップがあり、次に示す測定機本体に設置前、設置後を問わず、タッチプローブ装着が可能です。(X,Y,Z  単位:mm)

  • 小型(VERTEXシリーズ)の測定容積:250x160x160〜315x315x250
  • 中型(EXCELシリーズ)  の測定容積:420x520x160〜660x700x400
  • 大型(EXCELシリーズ) の測定容積 :750x900x160〜1050x1300x400
  • 超大型(EXCELシリーズ) の測定容積 :1250x1700x160/250/400〜1600x2560x160

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