接触式vs非接触式 三次元測定機の選び方|両方の課題を解決するマルチセンサー方式とは
品質保証や生産技術の現場において、新しい三次元測定機の導入検討は、製品品質と生産効率を大きく左右する重要なプロジェクトです。しかし、いざ機種選定を進めると、多くのご担当者様が「ある大きな壁」に直面します。
それは、「接触式」と「非接触式」、どちらの三次元測定機を選ぶべきかというジレンマです。
「柔らかい樹脂部品も測りたいから非接触式が良いが、精度の妥協はできない」
「測定時間は短縮したいが、どうしても奥まった穴の寸法も測る必要がある」
それぞれの方式には一長一短があり、どちらか一方を選ぶことは「何かを諦めること」を意味するように感じていないでしょうか。
なお、マルチセンサー方式の機能・スペック詳細については別記事「三次元マルチセンサー測定機のメリット」にてご紹介しています。本記事は、測定機選定の入口で多くの方が感じる『接触か非接触か』というジレンマそのものを解消することを目的とした記事です。
【基礎知識】三次元測定機とは?
三次元測定機(CMM:Coordinate Measuring Machine)とは、対象物(ワーク)の縦・横・高さ(X・Y・Z)の三次元座標を高精度に取得し、寸法や幾何公差(形状の正確さ)を測定する機器です。
自動車部品、航空宇宙部品、電子機器、医療機器など、高い精度が求められる製造業において欠かせない設備です。主に品質保証部門での出荷前検査や、生産技術部門での初品検査、金型の精度確認などで使用され、「品質トラブルの防止」や「製品の信頼性担保」という重要な役割を担っています。
【比較】接触式と非接触式の違いとは?
三次元測定機には、大きく分けて「接触式」と「非接触式」の2つの方式があります。それぞれの特徴と違いを詳しく見ていきましょう。
接触式三次元測定機のメリット・デメリット
ルビーなどの球状プローブ(触針)を直接ワークに当てて座標を取得する「接触式」は、長年にわたり品質保証の現場を支えてきた信頼の厚い測定方式です。
■ 接触式のメリット
- 圧倒的な高精度と信頼性: 物理的に対象物へ触れて測定するため、光の反射などに影響されず、サブミクロン単位の安定した高精度測定が実現できます。
- 見えない奥まった場所も測定可能: カメラでは捉えきれない深い穴の側面、アンダーカット構造、複雑な内部形状であっても、プローブの角度を変えて入り込むことで正確な測定が可能です。
■ 接触式のデメリット
- 測定に時間がかかる(タクトタイムの課題): 点群を1点ずつ物理的なタッチで取得していくため、測定箇所が多いほど時間がかかります。
- 柔らかい素材が変形してしまう: ゴム、薄肉のプラスチック、微細なスプリングなど、測定圧(タッチ時の力)によって変形してしまう「柔らかい部品」や「極小部品」は、正確な寸法が測れない弱点があります。
非接触式三次元測定機のメリット・デメリット
カメラによる画像処理やレーザー光を用いて、ワークに触れることなく寸法を取得する「非接触式」は、近年のスマートファクトリー化に伴い急速に普及しています。
■ 非接触式のメリット
- 圧倒的な測定時間の短縮: 視野内に入った対象物のエッジを一瞬で捉え、数秒で数百箇所の寸法を同時測定できます。大幅な検査工数削減とタクトタイムの短縮が実現できます。
- 柔らかいもの・微小なものも非破壊で測定: ワークに一切物理的な力を加えないため、変形しやすい樹脂部品や、プローブが当てられない微小な電子部品でも、正確かつ安全に測定できます。
■ 非接触式のデメリット
- 死角(カメラの死角)は測れない: 上方からの撮影やスキャンが基本となるため、側面にある穴の深さや、重なり合った奥まった箇所の寸法など「光が届かない死角」は測定できません。
- 透明・光沢のある素材が苦手な場合がある: ガラスや透明樹脂、鏡面仕上げの金属パーツなどは、光の透過やハレーション(強い反射)を引き起こしやすく、エラーの原因となることがあります。
【失敗から学ぶ】三次元測定機選びの「よくある失敗例」
ここで、測定方式の選定でよく起こりがちな失敗例を2つご紹介します。自社の検討状況に当てはまらないかチェックしてみてください。
1. スピード重視で「非接触式」のみを導入した結果、測れない箇所が多発した
タクトタイム削減のために最新の画像測定機を導入したものの、いざ運用を始めると「側面にある横穴の深さ」や「透明な樹脂パーツ」がエラーになってしまい、結局ノギスなどの手作業での計測が残ってしまったケースです。
2. 精度重視で「接触式」のみで量産ラインを構築し、検査工程がボトルネックに
全数保証を掲げて接触式三次元測定機を導入したものの、測定箇所が多すぎて1個あたりのタクトタイムが数十分から数時間に拡大。生産スピードに検査が追いつかず、出荷待ちの滞留が発生してしまった失敗例です。
【用途別】部品の種類で見る!測定方式の選び方チャート
上記のような失敗を防ぐためには、自社の「ワークの特性」に合わせた選定が不可欠です。以下に簡易的な判断軸を整理しました。
●【接触式が必須なケース】
- ○ 見えない深穴やアンダーカットがある部品
- ○ 光を反射・透過してしまう金属加工部品やガラス部品
- ○ 垂直な内・外壁のプロファイル測定が必要な部品
- ○ 立体的な幾何公差の評価が必要な部品
●【接触式が必須なケース】
- ○ 測定圧で変形してしまうゴム・薄肉樹脂部品
- ○ 極小のプリント基板・電子部品
- ○ 数百箇所の寸法確認が必要な量産部品
しかし、実際の現場では「柔らかい薄肉樹脂部品だが、奥まったリブ構造の寸法も測りたい」といった複合的なニーズが多く、単一の方式では対応しきれないのが実情です。
選び方のジレンマを解消する「マルチセンサー方式」とは?
「高精度かつ奥深くまで測れる接触式」か、「圧倒的に速く柔らかいものも測れる非接触式」か。この究極の二択を迫られたとき、実は「両方を兼ね備えた1台を選ぶ」という第3の選択肢が存在します。
それが、「マルチセンサー方式」の三次元測定機です。
非接触の「高解像度カメラ(画像測定)」や「レーザーセンサー」と、接触式の「タッチプローブ」を、1台のシステムに統合した仕組みです。
マルチセンサー方式の最大の強み
ワークの特性に合わせて「1回の測定プログラム内で、シームレスに測定方式を切り替えられること」です。
外形の輪郭や無数の微細な穴はカメラで一瞬で測定し、そのままタッチプローブに切り替わり側面の深穴を接触測定(タッチプローブ測定について詳しくはこちら)、最後にレーザーで表面のうねりや高さをスキャンする(レーザー測定について詳しくはこちら)——これが、ワークを一度ステージに置くだけで完結します。
複数の測定機を行き来する必要がなくなり、段取り替えの手間も省けるため、接触式と非接触式の「いいとこ取り」による劇的な検査工数削減と属人化解消が実現できます。
▶ お手元の部品が1台で測れるか、無料でご確認いただけます。まずはカタログでスペックをご確認ください。
世界基準のマルチセンサー三次元測定機「マイクロ・ビュー(Micro-Vu)」の強み
このマルチセンサー方式において、他社製品と一線を画し、世界中の製造現場から絶大な支持を集めているのが「マイクロ・ビュー(Micro-Vu)」です。
鮮明なエッジ検出を可能にする独自の高度な画像測定技術をベースに、タッチプローブ、レーザーセンサーを1台に高次元で統合しています。
代表機種の簡易スペック比較(Vertex / Excel)
マイクロ・ビューでは、小型部品向けから超大型部品向けまで、現場のニーズに合わせたラインナップを展開しています。
| 項目 | 小型機「Vertex(バーテックス)」 | 中~超大型機「Excel(エクセル)」 |
|---|---|---|
| 測定範囲(最大) | 315 × 315 × 250 mm | 1600 × 2520 × 400 mm ※世界最大級 |
| 測定精度(XY軸) | 2.0 + L/250 µm~ | 2.5 + L/200 µm~ |
| 搭載可能センサー |
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※精度表記の「L」は測定長(mm)。実際の仕様詳細はカタログをご参照ください。
マイクロ・ビューが選ばれる理由と用途別の効果
● プリント基板・電子部品(スピードと精度の両立)
無数にある微細な配線パターンやスルーホールは画像で一瞬で測定し、実装部品の高さはレーザーで正確に取得。従来、接触式で数時間かかっていた測定時間を、わずか数分へと短縮する圧倒的な検査工数削減が実現できます。
● プラスチック・樹脂成形品(変形リスクの回避と複雑形状への対応)
測定圧で変形しやすい薄肉部分は非接触で測りつつ、金型の抜き勾配や奥まったリブ構造はタッチプローブで正確にトレース。寸法不良による品質トラブルの未然防止に大きく貢献します。(プラスチック部品の測定事例を見る)
● 医療機器部品(妥協のない厳格な品質保証と実績)
ステントやカテーテルなどの極小かつ複雑で柔らかい部品も、複数のセンサーを組み合わせることで確実な測定が可能。誰が測っても同じ結果が出るため、測定の属人化解消が実現できます。国内の医療機器メーカー様への多数の納入実績を持ち、厳格な品質基準への対応も実証済みです。(詳しくは医療部品の測定事例を見る)
妥協のない測定機選びで品質保証の現場を改善
「スピード」か「精度」か。「柔らかさ」か「深さ」か。
三次元測定機の導入において、もはやどちらか一方を犠牲にする必要はありません。
マルチセンサー方式の「マイクロ・ビュー」を導入することで、これまで複数台の測定機と熟練者の手作業に頼っていた複雑な検査工程を1台に集約できます。その結果、「測定時間の大幅な短縮」「検査工数削減によるコストダウン」という、現場が求める真の改善が実現できます。
自社のワークに本当に最適な測定方式はどれなのか。導入による効果イメージをさらに具体化するために、カタログのダウンロードやサンプル測定をお試しください。
三次元測定機「マイクロ・ビュー」の
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