コラム

レーザーが通用しない「透明・光沢・鏡面」部品の測定限界を突破する、2つの非接触ソリューション

非接触測定を阻む「透明・光沢・鏡面」の壁

半導体や精密機器の製造工程において、測定対象に物理的なダメージや変形を与えない「非接触測定」は不可欠なプロセスです。しかし、品質管理の現場において多くの技術者を悩ませているのが、「透明なガラス」や「光沢・鏡面仕上げ」の部品の測定です。

画像センサーの場合、落射光(光の強度や入射角・方向)の性能がシビアに問われます。当社のマイクロビュー機の場合、強力なリング照明(マクロリングライト:5リング×8セクター=40セグメント、入射角27°〜76°)を用いることで、一般的なガラスや光沢のあるゲージブロック表面等は全く苦にしません。ただし、完全な「鏡面」となると画像センサーでは対応が困難になります。

一般的なカメラや標準的なレーザー変位計(三角測距方式)は、対象物の表面に光を当て、その光がさまざまな方向に散乱する「拡散反射(デフューズ)」の光を受光素子で捉えることで高さを計算しています。つまり、表面にある程度の「粗さ」があることを前提としているのです。

そのため、以下のような光学的特性を持つ素材では、物理的なメカニズムの壁に直面し、測定エラーが頻発します。

  • 透明な素材(ガラス・レンズなど):照射された光の大部分がそのまま透過してしまうため、表面での反射光が受光器に戻りません。また、表裏両面で反射が起こり、どちらが真の表面かセンサーが誤認する原因にもなります。
  • 光沢・鏡面素材(ウェハ・金属のポリッシュ面など):光が鏡のように入射角と同じ角度で反射します。拡散光がほとんど発生しないため、受光器に光が届かず「測定不能」となってしまうのです。

これらの難素材に対して安定した非接触測定を実現するためには、光の反射特性に合わせた別のアプローチが必要になります。

【解決策1】光沢・鏡面パーツを攻略する「レーザーのモード切り替え」

表面の光沢が強く、一般的な拡散反射では光が返ってこない部品に対して有効な第1のアプローチが、レーザーセンサーの受光方式を切り替えるソリューションです。

高度なハイエンド非接触測定機には、通常の「デフューズモード(拡散反射)」に加え、「スペキュラーモード」への切り替え機能が搭載されています。スペキュラーモードでは、レーザー光入射角を90°でなく斜め方向からとし、反射光を拾う仕組みです。

これにより、これまで光が逃げてしまって測定できなかった研磨された金属面や、光沢のある樹脂部品などでも、安定したプロファイル取得が可能になります。

レーザー自体はもともと透明・鏡面への適性が高いわけではありません。しかし、レーザービームの入射角度を変えられる方式(デフューズからスペキュラーへの切り替え)を用いることで、適用範囲は大幅に大きくなります。実際に当社のマイクロビュー機においては、このスペキュラーモードを活用することで、光沢面だけでなく、従来は困難とされていた「透明表面」の測定にも成功している実績があります。

【解決策2】透明ガラスや超・鏡面の限界を突破する「VAS(白色光センサー)」

レーザーのスペキュラーモードでも対応しきれない「完全な透明体(ガラスや透明フィルム)」や、ナノレベルの分解能が求められる「超・鏡面部品」に対する究極のソリューションが、VAS(Chromatic Confocal Sensor / 白色光センサー)の活用です。

VASは、単一波長のレーザーではなく、すべての波長(色)を含んだ「白色光」を使用します。この白色光を特殊なレンズに通すと、波長(色)によってピントが合うZ軸上の距離(高さ)が変わる「軸上色収差」という物理現象が発生します。対象物の表面に当たってピントがぴったり合った特定の「色(波長)」の光だけが、ピンホールを通って受光器に戻る仕組みとなっており、その戻ってきた光の色を分析することで、対象物までの正確な高さをナノレベルで算出します。

VASの圧倒的なメリット

超高精度な鏡面測定: 対象物の傾きや極端な反射率の変化に強く、レーザーではノイズが出やすい超・鏡面の極小段差や粗さも極めて安定して測定できます。

万能に見えるVASですが、現場導入においては「測定範囲(Zストローク)」に注意を払う必要があります。例えば「VAS-500」の場合、測定範囲は0.5mmと非常に狭い領域に限定されます。そのため、この範囲を超えるような大きな段差やうねりを持つ部品を測定する場合には、以下のような運用上の工夫が不可欠です。

  • プログラム上の工夫:測定対象の形状に合わせてZ軸を動かし、常にセンサーの測定範囲内に表面が収まるよう追従させるプログラムを組む。
  • マルチセンサーの活用:タッチプローブの押圧力で変形しない材質であれば、広いストロークが必要な箇所は接触式のプローブで測定し、微細な鏡面箇所の測定にVASを用いるといった、他センサーとの併用を検討する。

難素材の測定課題をクリアし、確実な品質管理へ

「透明・光沢・鏡面」といった難素材の非接触測定は、従来の一般的なレーザーセンサーの延長線上では物理的な限界があります。しかし、対象物の光学的特性に合わせて「レーザーのスペキュラーモード」や「VAS(白色光センサー)」や「プローブ」を適切に選択することで、これまで測定不能と諦めていた部品でも、高精度かつ安定した品質管理が可能になります。

各センサーの詳細な仕様や、様々な難素材における測定アプローチをまとめた製品カタログ・技術資料をご用意しております。現場の測定精度の向上や安定化に向けた情報収集として、ぜひ下記のリンクより資料をダウンロードしてご活用ください。

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